ベルヴェデーレ宮殿


 ハプスブルク家の夏の離宮として建てられた宮殿。現在は美術館になっていて、クリムトやシーレを中心に展示されています。

ウィーン分離派

 グスタフ・クリムトエゴン・シーレウィーン分離派と呼ばれています。古き絵画から分離するという意味でクリムトが提唱したもので、それまでにはない装飾的な官能的な表現が特徴です。こんな作品を観てきました。

「接吻」グスタフ・クリムト


 男性と女性がキスをしている場面を描いています。装飾的な模様の中に人物が埋もれていますが、よく観ると男性は角張った模様で、女性は曲線を多用した模様です。違いを出すための工夫なんでしょうね。
 画集などを読むと「金箔が貼ってあり」とよく記述されているんですが、実物を観ると金箔は使われていなくて、おそらく金泥(金をニカワで溶いた絵の具)が使われていました。まぁ、文献にあたった訳じゃないんで推測ですが、そんな発見も実物を観たからこそですね。

「ユディト」グスタフ・クリムト


 19世紀末に多く扱われたテーマ「ファム・ファタル」の一種。ファム・ファタルというのは男を破滅させる魔性の女の意味です。モデルはクリムトを敬愛した貴族の奥方らしいのですが、右下に首が見えますよね。タイトルのユディトっていうのは、敵の司令官を油断させて寝てる間に殺害した旧約聖書の女性です。そのイメージとオーバーラップさせて、強く官能的な女性として描いています。
 通常、写真などには写りませんが、額もクリムト自身が手がけています。金箔が貼ってあって綺麗なんです。

「死と乙女」エゴン・シーレ


 学生時代に一番好きだった画家、エゴン・シーレ。28歳という若さで亡くなってしまったんですが、良い作品をいくつも描いています。本作のモチーフは、シーレ本人と当時の恋人。別れを予感させるような不安をかきたてられるような画面です。
 シーレの作品は絵の具を何層も重ねて描かれていました。薄い絵の具を溶いてかけたり、かすれさせながらのせたり、勢い良く筆を動かしたり。そういう画家の息づかいまで見えることが発見でした。