遊星からの物体X

<ストーリー>
 10万年前に地球に飛来した謎の巨大UFOを発見した南極観測隊ノルウェー基地が全滅。やがてノルウェー隊の犬を媒介にしてアメリカ基地に未知の生命体が侵入した。それは次々と観測隊員たちに襲いかかっては、その身体を乗っ取っていく。隊員たちは、仲間の中にエイリアンがまぎれこんでいるかもしれないと疑心暗鬼になっていく。

 ちょっとカルトな映画を紹介しようシリーズ、第二弾。1982年制作の傑作SFホラー「遊星からの物体X」です。ホラーとはいいつつも、最近の映画であるバイオハザードを見られれば平気なくらいの描写ではないかと思いますんで、ご安心を。
 この映画の特徴は、南極という閉鎖的かつ極限状態でパニックに陥っていく人間たちの心理描写にあるのではないかと思います。今となっては珍しくない「ナニかが人間の体を乗っ取っていく」というシュチュエーションも、このころは新しかったんじゃないかなぁ。これを見てしまうと、最近のSF映画は先人たちのものから抜け出せていないんだなぁと思います。
 そして、本作の醍醐味はラストシーン。パニック状態に陥ったとは思えないほど、穏やかな情景です。どうなったのか、どうなるのか、いろいろと考えてしまいます。映画のタイトルからはB級の香りがぷ〜んと漂ってきますが、なかなかどうして骨太な作品です。SF好きな人は是非。