未来を写した子どもたち

未来を写した子どもたち(特別版) [DVD]

未来を写した子どもたち(特別版) [DVD]

<ストーリー>
 インド・コルカタの売春窟に暮らしながら取材をするカメラマンのザナ・ブリスキーは、ここで暮らす子どもたちに出会った。渡したカメラで思い思いに写真を撮る子どもたちに感銘を受けたザナは、彼らを売春窟から救い出そうと決意。学費を集めるために、子どもたちの撮った作品の写真展を開くことにする。

 こちらの記事を読んで以来、気になっていた映画です。2004年アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門を受賞した作品です。実際に見たら、素晴らしかった。ドキュメンタリーといえど、映像作品として質が高いし、決して説教臭くないんですね。ある人間が悲惨な現状を垣間見て、突き動かされるようにして作品化したということがよく分かります。
 インドの売春窟では、皆が売春を生業としています。子どもは大きくなると、例外なく体を売らなければならない。そうして連綿と受け継がれてきた負の連鎖を、ある女性カメラマンが断ち切ろうとします。
 よく世間では、たかが数人の子どもを救ったところで自己満足じゃないかとか、一部を救っても何も変わらないといった論調が目につきます。だけど、変わっちゃうんだなぁ。子どもたちの就学資金集めのために始めた活動が、いつしかムーブメントとなっていく。一人の情熱が周囲を巻き込んでいくからこそ世界はおもしろい。それは、子どもたちがとった写真が魅力的であるということが、要因の一つであったのではないかと思います。ただ、この映画で彼らの人生が終わるわけではなく、今も続いているということを忘れちゃいけない。皆が幸せに暮らしているわけではなく、売春婦になったものもいるそうです。少しでも幸せになって欲しい。
 題材から画面を正視できないのではないかと敬遠しがちですが、この映画は決して重くないです。それは、子どもたちの笑顔が素晴らしいから。つねに笑いの絶えない子どもたちは、本当に輝いているし、かわいらしい。
 世界には色々な人たちがいます。10代のうちにぜひ見て欲しい映画です。