商業アニメーション講演会 〜その1〜

 ちょっといろいろと準備で忙しくて、日記をさぼりました。ごめんなさい。
 あの講演会を開くにあたって、テーマを決めました。そして、彼と何回か会い、テーマを基に意見交換をし、こんな流れで話を進めようかと確認して当日を迎えたと。基本的には彼に自由に話をしてもらいました。
 講演会後、ご飯を食べながら話を聞いていたのですが、もっと伝えたいことがあったということなんで、この場で何回かに分けてまとめようかと思っています。


 今回は、あの講演会で話してくれたことについて、おおまかなまとめ。

テーマ「商業アニメーションにおけるコミュニケーションについて」

プロフィール
  • 都内美大油絵科卒。大手アニメーション製作会社にて、美術を担当。短編にて美術監督をつとめる。
学生時代はどのように過ごしたか
  • 高校時代は一年生から予備校へ通い、絵ばかり描いていた。絵が好きだったので、「将来は美大へ行く」という選択肢しかなかった。
  • 大学時代は、まず具象作品に取り組んでいた。1、2年生と具象絵画や立体造形に没頭していた。
  • 転機は3年生のとき。自主制作のアニメーションが好評だったため、本格的に卒業制作のアニメーションに取り組んだ。卒業制作の作品は完成まで一年間かかった。
  • その卒業制作をコンクールに出品し、いくつかの賞を受賞した。それがきっかけで今の会社に就職した。
なぜ現在の仕事を選んだのか。
  • アニメーションという仕事にとくにこだわりはなかった。漠然と将来は「クオリティの高い作品作りに携わりたい」と考えていた。それに合う業種ならばアニメーションでなくても良かった。現に就職活動では、ゲーム制作会社も受けていた。
  • 自分にとってのクオリティの高さとは「密度の高いもの」であるということ。
  • アニメ業界で自分に適しているのは何かと考えた時に、美術だった。これが、あの時に動画などを選んでいたら仕事には就けなかったと思う。冷静に自分の向き不向きを判断することも必要。
  • 立体にも興味があったので、今だったら海○堂などのフィギュア作りを選ぶかも。
業界について
  • 学生時代に制作していた絵画は、自分の絵を描けばいい。アニメーションは、その作品に合った絵を描かなければならない。
  • 仕事が忙しく誰も教えてくれない。そのため、人の絵を見て盗むことが大切。また、自分で仕事以外の時間で練習をする必要がある。
  • 一番重要な資質は、絵が上手であること。また、上手に描きたいと思っていること。技術職なので、なによりも技術の高さが重要である。
将来、商業アニメーションを志す人へ伝えたいこと
  • デッサンが大事。石膏デッサンがいいのかなぁ。
  • 絵にとらわれず色々なことをやってみるということが大切。絵しか描いてこなかった人は一定のところで行き詰まってしまう。たとえば、美術監督などに重要な資質は、技術力とともに部下を見て仕事を振るということ。そういうことには、様々な経験が生きてくる。
  • 学生時代に自分の作品を作るということも重視して欲しい。仕事に就くことを考えた時に、自分の力を目に見える形で示せるほうがいい。

 他にもいろいろな話をしてくれましたが、キーワードは上記のあたりかなぁと思います。とくに、彼がアニメを好きなわけではなく、美術的にクオリティの高い仕事を探した結果がアニメだったというのが、非常におもしろいと思いました。今の世相を表している。


 さて、次回は話せなかったと悔やんでいたあたりをまとめようと思います。