ナイロビの蜂

ナイロビの蜂 [DVD]

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<ストーリー>
アフリカのナイロビでイギリスの外交官として働くジャスティン(レイフ・ファインズ)は、ある日、弁護士で救援活動家の美しい妻テッサ(レイチェル・ワイズ)を殺されてしまう。失意の中、ジャスティンは、妻が追っていた事件がイギリスの薬品メーカーによる現地の人々を使った人体実験であることを突き止める。


 以前紹介したシティ・オブ・ゴッドフェルナンド・メイレレス監督がその後撮った映画。すごく悲しい映画でした。
 妻を亡くした主人公が証拠を探してアフリカの各地をさまようんですが、いたるところに奥さんの思い出を見つけ、いかに自分が分かっていなかったのかと思い知ります。全てを知った時には妻はいない。でも、彼女が過ごした土地には、驚くほど彼女の匂いのようなものが残っていて、それがなおさら悲しくさせます。
 あまりに強大すぎる敵が完全な悪人ではなく、一人ひとりがある役割を演じているだけであり、少しずつ罪悪感も覚えている(ように見える)ところがリアルだと思いました。きっと、多くが関わることによって、罪の意識は薄らいでしまうのでしょうね。
 そういうもんなんだろうな。怖いなぁ。


 最初に「悲しい映画」と書いた理由は、アフリカの現実を淡々と映している点です。過去の大国における植民地政策の遺産として、いまだアフリカは貧しいまま。国境なんて直線だし、おかげで民族間の紛争も絶えない。各国のODAもアジア中心で、アフリカにはなかなか回らない。


 結局、この映画の主役は子どもたちだと思います。素晴らしい笑顔の子や、病気の子どもたち、物乞いの子どもたち。多くの顔が印象に残りました。