レスラー

レスラー スペシャル・エディション [DVD]

レスラー スペシャル・エディション [DVD]

<ストーリー>
 栄華を極めた全盛期を過ぎ去り、家族も、金も、名声をも失った元人気プロレスラー“ザ・ラム”ことランディ。今はどさ回りの興行とスーパーのアルバイトでしのぐ生活だ。ある日心臓発作を起こして医師から引退を勧告された彼は、今の自分には行く場所もなければ頼る人もいないことに気付く。新しい仕事に就き、疎遠だった娘との関係を修復し、なじみのストリッパーに心の拠り所を求めるランディ。しかしその全てにつまづいた時、彼は悟る、例え命を危険にさらすことになっても、自分はプロレスラー“ザ・ラム”としか生きることが出来ない男なのだと。。。


 もうオヤジの頑張る話に弱い男としては、たまらない映画でしたね。
 今、アカデミー賞で話題の「ブラックスワン」の監督作品。華やかな世界に生きた、一人の年老いたレスラーの喪失と少しの再生の物語。ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞しました。


 主演はミッキー・ローク。って言っても知らないだろうなぁ。1980年代に時の人となり、その後、人の口にも上らなくなってしまった俳優です。本当に美形で格好よかったんだけど、ボクサーに転向してね。そして、次第に忘れられていった人です。そんなミッキー・ロークの人生と、孤独なプロレスラーの人生をどうも重ねて観てしまいました。
 元人気プロレスラーの私生活が寂しくてね。一人でコンテナ暮らし。その家賃すら払えず閉め出され、パート先のスーパーで「もっと働かせてよ〜」って頼んだりする。身体は長年の無茶なトレーニングでボロボロだし、試合後は古傷もずきずき痛む。そんな身体はテーピングだらけ。楽しみと言えば、ストリップに通い、なじみの踊り子相手に昔の栄光を語ることくらい。もう哀愁が漂っているなんてものじゃなくってさ。少なくとも、俺はあんな余生は嫌だな。
 でも、一度リングに上がると輝き始めます。あまり多くはないファンの歓声を浴び、マットに舞う姿からは私生活なんて想像できないくらい。間違いなく往年の名レスラー「ザ・ラム」の姿なんですね。それが彼を支えているものでした。
 あるとき、彼に転機が訪れます。そして、彼の下した答えは、寂しくて、でも分かるような気がするものなんだよね。


 ミッキー・ローク自身も、この作品で多くの賞を受賞し、過去の栄光を取り戻しました。きっと彼が主演じゃなかったら意味がないし、あのタイミングじゃないと撮れなかった映画だと思います。もし興味があるようならぜひ。
 あ、結構リングで流血したりするので、そういうのが苦手な人は避けたほうがいいかもしれません。