つみきのいえ

 短編アニメーション部門でノーベル賞を受賞した「つみきのいえ」。先日行ったメディア芸術祭で鑑賞していたので、喜びもひとしおです。いや〜、いい作品だったのでうれしい。泣くかも。ということで、ちょっとだけレビュー。


 このアニメーションが特徴的なのは、受賞した加藤久仁生監督はあくまで「監督」であるということ。企画したのは会社であり、ストーリーを考えたのは別の人であり、制作者は多数いる。これって短編アニメーションとしては変わっていると思います。
 従来の短編アニメーションは、「作家」が企画し、ストーリーを考え、制作するというもの。言ってしまえば、一人の作家が自分の作りたい物を自分の作りたいように作っていたんだと思います。なんていうのか、自分の作品を作っているため、そこには企画される必然性があり、ストーリーとして形作られる必然性がある。
 それが、今回の作品は「商品」として作られているんじゃないかなぁと感じる次第です。それが悪いわけじゃないのだけど、商業ベースに乗った短編アニメーションっていうのが出て来たというところが面白い。


 作品については各方面で紹介されているので、知っている人も多いでしょう。全部で10分程度の作品です。鉛筆で手描きした線にコンピュータで彩色しているそうです。
 テーマは地球温暖化ですかね。老人が海に沈みかけているレンガ造りの家に「潜って」いき、そこで様々な記憶と出会う。そんな話です。
 見終わった後にじんとくる良作。


 これを機に、短編アニメーションが盛んになるといいなぁと思います。