今敏監督の訃報 - アートレビュー

　今敏監督が亡くなられました。これからの日本アニメ界を担う監督さんの一人だったであろうに、非常に残念です。まだまだ若いし、これからも良い作品も生み出される方だったでしょうに。映像の美しい作品を生み出す監督でした。
　私はといえば、すごく好きだったという訳ではありません。パーフェクトブルーや千年女優を観たときには、実はピンときませんでした。映像はよく動くし美しいものの、展開がしっくりこないという印象を受けました。それからは、東京ゴッドファーザーズも観ていないし、妄想代理人も「へぇ〜、あったんだ」って感じ（面白いって話はよく聞きました）。
　でも、パプリカは良かった。アニメを観た時はいまいちかなぁと思ってたんですが、その後に原作を読み映画とは全然違っていて驚きました。小説は、筒井康隆さん独特の男臭さが鼻につき、好きになれませんでした。映像化するのも難しいし、テーマも劇場版アニメにはそぐわないんですよね。でも、それを改変し娯楽作品に仕上げた今監督の力量は計り知れないものがあるんだなぁと認識を新たにしたものです。
　ちょうど、新作に取りかかったところであったという話を、訃報の知らせとともに知りました。パプリカの次に作る作品を、ぜひ観たかった。でも、それももう叶いません。

　彼が死を覚悟した時に、日記を書いていました。それが本当に素晴らしい。
http://konstone.s-kon.net/modules/notebook/archives/565
　ガンは本当に痛いだろうし辛いはず。それなのに、少しもそれを表に出さずに、周囲の人々への感謝や、作品への思いを綴っている。

　大学、そして物作りの大先輩へ感謝の気持ちを込めて。

　監督以前に携わった作品である、「機動警察パトレイバー2」（レイアウト）や「メモリーズ／彼女の想いで」（脚本・美術設定・レイアウト)も好きだったなぁ。