石巻市の状況

 石巻市は東北で一番死亡者数の多かった地域です。6/14現在、死者3097人、行方不明者2770人。総人口は約16万人で、そのうち6030人が非難生活を送っています。
 被災地はそれぞれ被害の状況が異なります。石巻市中心部は津波が押し寄せた後に引き波がほとんどなく、そのまま穏やかに水面が下がっていった場所です。そのため、瓦礫が多く取り残されています。話によると、宮城県から出ている瓦礫のうち、三分の一が石巻市からのものだそうです。つまり、町が瓦礫に埋もれているような状態です。
 現在、主要な場所の瓦礫は取り除かれ、それが何箇所かに集められて大きな瓦礫の山が形成されています。でも、その大きな山がどうなるのかはまだ決まっていません。また、海沿いの住宅地はまだまだ手が入っていない現状があります。三ヶ月間放置された瓦礫や廃棄物は魚なども多く含まれ、町中に腐敗臭が漂っています。ハエや蚊も異常なくらい多く、これからの季節の衛生状態は不安が多くあります。避難所では今、ダニが発生し早急な対応が求められています。
 これから先、大きな被害をもたらしそうなのはチリやホコリです。乾燥した汚泥が空気中に浮遊しています。石巻は工場地帯のため、チリやホコリにはいくつもの化学物質が付着しているのではないかと言われています。おそらくアスベストも。それが町中を覆い、長期間いるとセキやのどの痛みという症状が現れます。しっかりとマスクをするように注意喚起されています。
 石巻市はそのような状況のため、多くのボランティアが必要とされています。多くは、泥掻きと呼ばれる瓦礫撤去、側溝掃除などの土木作業です。炊き出し、ダニ駆除、漁業支援などにも多くのボランティアが投入されています。そのほかにも多くのニーズがあり、美容師、鍼灸師、整体師、電気技師なども入っています。私の知らないものまで含めると、本当にバラエティに富んだ人たちが関わっています。
 これが、他の地域になると全く状況が違います。引き波が多かった地域は、何も残されていないそうです。ボランティアが関われることが少なく、物資も足りていないという話を聞きました。
 被災地と一言で言っても、その土地土地によって全く異なる現実があり、そこが難しいところだと感じました。私が行った石巻市は、行政がうまく機能し、奇跡的なボランティア体制がとられていると言われています。