Pen 5/1号 No.266「水木しげる大研究」

Pen ( ペン ) 2010年 5/1号 [雑誌]

Pen ( ペン ) 2010年 5/1号 [雑誌]

 私の実家は東京都の調布市というところで、多摩川が流れ、自然が多く残っています。子どもの頃の遊び場といえば、川か神社の境内か古墳。町の至る所に昔の名残を感じさせるような場所があります。
「川の中州にアンモナイトの化石が埋まっている」
「あの神社の裏で子どもが一人いなくなったらしい」
「古墳のてっぺんに生えている木の根元にウロがあって、そこをのぞいたら人骨みたいなものが見えた」
 いろいろな真偽のほどは定かではない話がありました。今思えば、違う世界へ通じる入り口になり得るような場所がいくつもあったような気がします。
 水木しげるさんも調布市に住んでいます。彼の作品で有名なのは「ゲゲゲの鬼太郎」ですが、妖怪のアイデアはそんな環境だからこそ生まれてきたのかなぁとも思っています。


 今回のPenはそんな水木しげるさんの特集。いやぁ、いい内容でした。生と死をテーマにした短編から、絵本まで。彼の一枚絵って、すごくきれいなんだよなぁ。漫画家だからって侮れない。多くのインタビューも載っていて、読み応え十分。悲惨な話でもユーモアたっぷりに語る人柄が大好きです。「人を食ったような」という表現がぴたりとはまる。
 興味のある人は損しませんよ。是非。