旧友の展覧会へ行った

 旧友の展覧会へ行きました。
 それはとくに連絡をとっている友人でもなくって、そういや、連絡先も知らないや。でも、大事な時期を一緒に過ごした大切な仲間。高校時代の友人です。
 その頃の私は、得体の知れない閉塞感に苛まれ、正直、先が見えないことが怖かった。きっと、多くの人は同じように感じる時期であって、傷つきやすい感性を何人かの仲間と共有するものなんじゃないかと思います。
 でも、今だから客観的にそう思えるんだよなぁ。あの頃は、人生って何なんだろうとか将来って何が待ってるんだろうって大真面目に考えていて、友人同士でバカなことをしながら不安を隠すように刹那的に過ごしていた。でも、なんだか訳の分からない期待も大きくて、時には夜通し夢を語り合った。
 そんな不安や期待を共有した仲間の結びつきは強かった。彼はその中の一人。でも、高校を卒業してからは、風の便りで噂を聞くくらいになっちゃった。携帯電話なんてなかったから、実家を出ちゃうと連絡つかなかったんだよね。
 彼がアメリカへ渡り、写真家として国内外で活躍しているらしい。他の友人からそう聞いたのは、数年前。自分は作家になる気がさらさらないからか、彼が同じ分野で活躍していることがなんか嬉しくて。気づかぬうちに、現代美術館で彼の作品に出会っていたことにも気がついて、さらに驚きました。


 数日前、たまたま情報を目にしたので、のこのこと彼の展覧会へ行ってきました。会場では、本日一番乗り。彼には会えなかったけど、じっくりと作品を堪能できました。いい作品。少しためらったけれども、サイン帳に自分の名前を大きく大きく書いてきました。気がつくかな。もう14年も前の話だ。名前だけじゃ、気がつかないかもしれないな。
 でも、それでいい。きっとお互いにまっすぐ歩いていたら、またどこかで会えるはず。俺も元気で楽しくやってる、お前も頑張れ!って気持ちを十分に込めてサインしました。また、会えますように。