「石上純也展 建築はどこまで小さく、あるいは、どこまで大きくひろがっていくのだろうか?」@資生堂ギャラリー(銀座)

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 建築の展覧会ですね。石上純也さんは今もっとも注目されている若手建築家です。今年おこなわれた、第12回ヴェネツィアビエンナーレ国際建築展で金獅子賞を受賞しました。
 彼の作品を初めて知ったのは、前回のヴェネツィアビエンナーレ国際建築展でした。彼は日本館で個展をおこなったのですが、ガラスを多用した非常に繊細な作品を発表しました。建物の内外に草木を多く取り入れ、壁は透明なガラス。どこが境界なのか分からない建物は、
「こんな建築あるの?」
と観る人の度肝を抜きました。繊細かつ大胆。それが、彼の作品を観た印象でした。


リンク元こちらこちら。多くの画像がありますので、良ければどうぞ。


 今年の金獅子賞受賞作品は、前回以上に繊細なものを作ったそうです。

リンク元こちら
 カーボンファイバーを用い、知覚できないほどの透明感を追究した作品。猫に壊されたり、内覧会では3時間で倒壊したりしたそうです。ん〜、まさしく求道者。俺だったら泣いちゃう。



 そんな石上純也さんの展覧会です。今回の展覧会は、彼のスタディ(習作)を集めたもの。要は建築物には至らないけれども、自分のアイデアを形にするために模型として作られたものです。
 会場に入った瞬間に、白を基調とした小さな模型たちが机の上に並べられています。順路に沿って作品とメモを観ていくと、彼の思考を追体験できるような気がしました。建物だけではなく、町並み、雲、山、海、空、惑星など
「それって建築なの?」
って思うようなものまでデザインしています。惑星の形なんて夢みたいなこと、普通は考えないよなぁ。でも、そんな大きなスケールのことまで考えを巡らせているからこそ、今までにはなかったような繊細な作品を作り上げることができたんでしょうね。
「こういうことを考えて作品を作っているんだなぁ。」
なんて思いながらじっくり回りました。彼の作品に対する考えを少し理解できたような気がします。
 こちらに多くの画像が載っていました。今までの建築の概念からは少し外れる作品。想像を巡らせながら、ぜひ観て欲しいと思います。10/17(日)まで。