「アンドリュー・ワイエス展」@渋谷文化村

art-study2008-11-11

http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/08_wyeth/index.html
 アンドリュー・ワイエスは、私が絵画を志すきっかけの一つとなった作家です。アメリカの荒涼とした大地を描かせたら、右に出る者はいないのではないでしょうか。高校時代に初めて画集を見て、感激しました。
 彼は、おもにテンペラ技法を用いて制作しています。しかし、元々は水彩画の力量が認められていました。彼は、父親が挿絵作家だったこともあり、幼い頃から水彩画に慣れ親しんだそうです。身近な風景を題材として制作をするのですが、筆遣いの大胆なこと。風景の特徴をとらえるために筆を走らせているのでしょうが、それだけでドローイングですよ。


 ということで、行ってきました。文化村。開催されてすぐに足を運んでいるところから、私のやる気もうかがえるというものでしょう。いや〜、だって高校時代のヒーローですよ。それを日本で見られるなんて(実は初めて実物を拝見しました)。平日の文化村は空いていました。まぁ、ワイエスってマイナーだしなぁ。印象派ほどの集客力はないのでしょう。
 今回は、彼の初期から中期にかけての作品が集められていました。初期の作品は、水彩画はまだしもテンペラ画の未熟さが目につきます。素人が見ても不自然。テンペラ技法が合ってないんじゃないかなぁ、なんて思いながら見てました。デッサンもイラストみたい。
 しかし、1970年代以降の作品から、輝きが増します。自然に風景を描けているというか、線が柔らかくなったというか。それだけでなく、彼の思いをすべて絵に込めているような気がします。迫力があって、とにかく素晴らしい。


 彼の作品は、テンペラ画よりも水彩画のほうが良いなぁと思いました。水彩画は秀作もタブローも絶品です。一見の価値あり。
 唯一の心残りはヘルガシリーズが一点しか来ていなかったこと。「ヘッジ・ボーイ」というタイトルで最後の方に展示してあります。もっと見たかったなぁ。あのオリーブグリーンの鮮やかさに、かつて影響を受けたのだけど。それだけが残念。